現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター。東京の美術館では初となる大規模個展を 東京国立近代美術館で開催中!

《4900の色彩|4900 Farben》 2007(ゲルハルト・リヒター財団蔵)の展示風景

ドイツ出身の現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター。現在、世界で最も注目を浴びる芸術家の一人です。東京の美術館では初となる大規模個展を東京国立近代美術館(MOMAT)で開催中です。日本初の公開作品もあります!
60年に及ぶ長いアーティスト人生の様々なフェーズの多種多様な作品を通じて、リヒターの魅力に迫る展覧会になっています。ドイツ人の私マライとしてはもちろん見逃せません!

待望の“現代アートの巨匠”の大規模個展

展示風景

今年90歳の誕生日を迎えたリヒターは、今なお現役のアーティストとして活動を続けています。60年にわたって創作した作品の中には大型のものが多く含まれています。広い展示スペースで見る大型作品の数々は、ドイツの学校で見た教科書や図録では感じ取れなかった威力を放っています。圧倒されます!

こんなに長い作品もあります!左:《ヨシュア|Joshua》2016(ゲルハルト・リヒター財団蔵) 右:《ストリップ|Strip》2013-2016(ゲルハルト・リヒター財団蔵)

《ストリップ|Strip》は大型作品の一つ。リヒターが2011年から始めたデジタルプリントシリーズで、すべての作品は1990年に制作された一枚の《アブストラクト・ペインティング|Abstraktes Bild》に由来します。スキャンした作品を縦に分断し、幅0.3ミリの帯を鏡写しにコピーして、横に伸ばせば、いくつかのカラーストライプができるのです。MOMATで展示されている《ストリップ|Strip》の横幅は、なんと10メートルもあります!

多種多様な作品がMOMATに大集合!

《アブストラクト・ペインティング|Abstraktes Bild》の展示風景

今回の展覧会の特徴の一つは、順路が決まっていないことです。作品はシリーズごとでまとめられていますが、制作された順番では展示されていません。同じ展示スペースに複数のシリーズが展示されることによって、また新たな見方ができたり、知っているはずの作品が違う感じに見えたり、シリーズを行き来しながらリヒターの作品を堪能できるのが素敵です。

《8枚のガラス|Acht Glasscheiben》2012(ワコウ・ワークス・オブ・アート蔵)を中心とした展示空間

例えば、《8枚のガラス|Acht Glasscheiben》を展示スペースの真ん中に配置することで、背後にある作品も自分も反射したり、いくつかの層となって重なったりと、その時々で新たな作品が生まれるようです。

作品に吸収され、その一部になる私
「カラーチャートと公共空間」《4900の色彩|4900 Farben》 2007(ゲルハルト・リヒター財団蔵)の展示風景

作品の生まれた過程についての詳しい説明を希望される方は、音声ガイドを借りるか、アプリで聞くことをお勧めします。

音声ガイドの番号が振られている「頭蓋骨、花、風景」作品の展示スペース

リヒター近年の最重要作品が日本初公開!

《ビルケナウ|Birkenau》2014(ゲルハルト・リヒター財団蔵)

4点の巨大な抽象画からなる作品《ビルケナウ|Birkenau》(2014年)は展覧会の見どころの一つです。見た目は抽象絵画ですが、その下層には、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真を描き写したイメージが隠れているそうです。1960年代以降、「ホロコースト」というテーマに何度か取り組もうと試みたリヒターが、2014年にこの作品でようやく納得のいく表現方法にたどり着いたのです。

時間の流れで遠ざかっていく、しかし決して消えない「ホロコースト」の事実とその記憶がこのように形で表現されることに対して、ドイツ人として深く納得しました。深く考えさせられる作品として必見です。

ショップで限定品を手に入れよう!

展覧会のチケットを持っている人しか入ることができないショップには魅力的なグッズがたくさん!ドイツで開催される展覧会では、公式グッズはかなり少ないので、MOMATの豊富なラインナップはものすごく嬉しい!

作品画像をあしらったオリジナルボックス(全3種)にカード20枚がついたカードボックス。カード単独の販売もあります。
ポスター、ノート、トートバッグとTシャツ、そしてポストカードを吟味する私
公式図録

今も現役で作品を生み出し続けるゲルハルト・リヒターの画業を、MOMATで振り返ってみませんか?「ゲルハルト・リヒター展」は10月までの開催となります。同じ10月まで開催の「MOMATコレクション」とあわせて、ぜひ楽しんでください!

作品はすべてゲルハルト・リヒター © Gerhard Richter 2022 (07062022)


ゲルハルト・リヒター展(Gerhard Richter Exhibition)

https://richter.exhibit.jp/
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期: 2022年6月7日(火)~ 2022年10月2日(日)
休館日:月曜日(ただし7月18日、9月19日は開館)、7月19日(火)、9月20日(火)
開館時間: 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで
チケット:https://richter.exhibit.jp/ または東京国立近代美術館(当日券)

東京国立近代美術館(The National Museum of Modern Art, Tokyo)

https://www.momat.go.jp
Twitter: https://twitter.com/MOMAT_museum
Facebook: https://www.facebook.com/momat.pr
YouTube: https://www.youtube.com/user/MOMAT60th

千代田区北の丸公園3-1
Google Maps: https://goo.gl/maps/UrVmJReZ5Vo6hUhB9
最寄り駅:竹橋駅、九段下駅、神保町駅